私、あなたを呪ってマス! ~こちびOLと凶悪な先輩、芹沢彰人の日常~
 ま、ちょっと罰ゲームでキスしただけの女を簡単にお持ち帰りするような人だからな、と思いながら、
「まあ、お試しですけどね」
と言うと、

「……お前が言うな」
と睨まれた。

「芹沢さんは」
「彰人」

「彰人さんは……」

 さらっと呼んだつもりだったが、どきりとしていた。
 だが、呪っている手前、表情には出さないようにする。

「なんで、私と付き合ってみようと思ったんですか?」

 ずっと疑問に思っていたので訊いてみた。

 キスしたことの言い訳にするためだとしても。

 彰人のことだ。
 このこちび風情に、そこまでしてやらなくとも、上手く言いくるめることは出来た気がするのだが。

 そうだな、と彰人は少し考え、
「お前と居ると、退屈しなくて済みそうだからかな」
と言ってくる。

 やっぱり、そんなことか、と思いながら、素っ気なく、
「そうですね。
 私も、しばらく退屈はしなくて済みそうです」
と言ってやると、

「だから、お前が言うなよ」
と頬をひねられる。
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