消しゴム位の。
高二の春。

「隼人先輩。好きです」

放課後の教室。
もう夕暮れが近く、
柔らかな日差しが差し込んでくる。

目の前には学校中で美人と有名な
田森杏里がいて、
少しうつむき気味にこちらを伺っている。

その姿は"美人"その言葉の象徴かのように
美しく、繊細だった。
例えるなら
繊細な白鳥のガラス細工のよう。

だが、その表情には
何かを欲するようなとても
暗く深い何かを感じる。

彼女に対する疑念。
でも、そんな事は俺には関係のない話で
気にとめる事ではない。

"冷たいやつ"

だと思われるかも知れない。

"心無いやつ"

だと言われるかも知れない。
でも、それも俺には関係ない事だ。
< 5 / 16 >

この作品をシェア

pagetop