明日の君に手を振って
みんなして理想を押し付けてきて、それでいて理想から外れると離れていく。
近づく努力もしないで。
私はただ、それぞれで自立していても、同じものを見て良いなって思えたりペアのものを身に付けてお互いひとりの時間を頑張れる、そんな些細な幸せを見つけたいだけなのに。
マンガの読みすぎ?
「男女の関係は難しいねぇ」
呟いたら、今まで黙々とご飯を食べていた仁科さんが顔を上げてこちらを見た。
「そんなに大袈裟なことじゃないだろ」
私に向けられたその言葉は、なんだか暖かくて、ふわりと心が揺れた気がした。
もっと話してみたくなって、あの、と声をかけようとした瞬間にシャッフルタイムの掛け声がかかる。
んんん、何て言うタイミング。
司会者の人を恨みたくなるけれど、重い腰をあげきらなかった自分が悪い。
乾いた自嘲が漏れるけれど、朋美にはポンポンと肩を叩かれるだけ。
ああ、見透かされてる気がする。