明日の君に手を振って
こんなところで彼氏ができるとも思わないけど、遊び仲間や気の合う子が見つかるかもしれない。
同性も含めて。
そんな気持ちで軽く応募したのは失恋したその日の夜。
さすがに一人では行きづらくて、バイタリティ溢れる友人を誘ってみたところ、二つ返事で承諾を得て今日に至るのだ。
「ともみぃ、感謝してるよ」
ボソッと言えば隣からは苦笑の気配。
「もちつもたれつ、てもんさ。気にしなさんな」
そう言ってくる朋美の明るい茶色のショートカットがふわりと揺れる。
指定された席から、周りを見回すと、外は雨だというのに皆それなりの格好をしている。
ふわふわスカート、お洒落なパンプス、ジャケットに至るまで自分を引き立たせるように完璧だ。
それができるのが、きっと世の中の求められている“女子”なんだろう。
そして自分の格好を見て苦笑した。
タイトなデニムのパンツに、シンプルな薄手のVカットのセーター。
足元は濡れないようにビニール加工のブーツだ。
そりゃあんた、朋美にだって呆れられたもんだよね。
何て言うか、一応コレでも外に出られる格好ではあると思うんだけれど。
「街コンだって出会いの場だろうに。あんたのそれは一体どうしたもんかね?」
前髪パッツン、黒髪セミロングで、人から言わせるとどうやら和風顔のクールビューティー。
スッとした一重瞼がいかんせん気を強く見せるらしい。
ふんわりかわいい女の子、とはいかないようだ。