明日の君に手を振って
「素の自分を見せられる人じゃないと、やっぱり」
「あんたはそれで色々痛い目みてんでしょーが」
悪友のぐさりと響く言葉に瞠目する。
確かに、去り際に言われる事はいつも同じ。
『想像と違ってた』
「お前の想像なんて知るか!」
吐き出されたのは本音。
そして手元のドリンクをグィ、と飲んだ。
「あんたそれ、乾杯のドリンク……」
という朋美の言葉は無視することにした。
店内は賑わっているけれども、ここのテーブルにはまだ私たち二人だけで、まだ来ていない人もちらほらいることがうかがえる。
時刻はまもなく乾杯の時間。
キョロキョロと会場全体を改めて見回すと、一際目立つオンナノコを発見。
なんだあの美少女は。
思わず肘で朋美をつつく。
「美少女いた!」
「どれ?おぉ。あ、友達と思われる子も雰囲気いいぞ」
「うん、抱きつきたくなる感じ!」
朋美と二人頷き合う。
いや、いい目の保養になったわ。
うんうん、と、二人きりのテーブルで安心しきっていたところに
「えーと、……こんばんは?」
と、急に話しかけられたもんだから肩がビクッと上がって手元のグラスを倒しそうになってしまって焦る。
苦笑しながら話しかけてくるのは真っ白のふわふわの帽子を被った色白男子。