明日の君に手を振って

視線を交わすと、にっこぉ~と笑って近づいてくる。
そのあまりのかわいさに思わず性別を確認したくなった。
え、オンナノコの間違いじゃないよね?

「ぼく、楠馨っていいます!」

きらっきらの笑顔が眩しいその子は首をかしげて私を覗き込むように上目使いで自己紹介をしてくれた。
なんだこのかわいい生き物は。
あ、でもちゃんと男の子だ、と、女性とはやっぱり違うその手の大きさを確認した。

「こんにちは。え、と、……橘恵です」

ぎこちなく自己紹介を返すと満面の笑みで握手された。
暖かくて大きな手で、包み込まれる。
こんなにかわいいのに。

「ここ。いいお店だよね~!来てみたかったところで街コンあるって即申し込んじゃった!」

にこにこしているこの人は周りを明るくする。
朋美とも「こんばんはー!」と、挨拶を交わしている。
初対面なのに、それをもろともせずに喋る彼はなんて社交的。

馨くんの趣味は、カフェ巡り、らしい。
やっぱ乙女か!でも似合うな。
等と脳内一人会話を繰り返す。

< 5 / 18 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop