明日の君に手を振って

「改めまして。橘恵です」
「坂下朋美です」
「楠馨です!」
「……仁科、徹也です」

改めて自己紹介をして談笑。
馨くんが趣味は?なんて、古典的な問いかけにお見合いか!なんてツッコミたくなるけど、読書です、なんてこれまた古典的に返しておいた。

「読書、ですか」

馨くんのへえぇ!という盛り上げるような相槌とは反対に、なんだか少し小バカにされたような反応が聞こえたと思うのは私の心が狭いからなのか、読書と言っても愛読書は専ら少女漫画と言うことが後ろめたいからか。
聞かれたから答えたんでしょうが!

「はいはーい!私は音楽鑑賞?NO MUSIC,NO LIFE的な!」

にこにこ笑う朋美の趣味が音楽って言うのはその通りで、休日になれば(平日でも)ライブだったりコンサートだったり、フリーイベントだったりに勤しんでいる。
何がすごいって、ひとつにこだわってってところじゃなくて、アイドルからパンクロック、フォークにジャズ、果てはクラ
シックまで多岐にわたるジャンルを網羅してるところだと思う。

「朋美さん、音楽鑑賞が趣味、て……二人とも無難、ですね」

朋美の笑顔がひきつったような気がする。
分かるよ、その気持ち。

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