明日の君に手を振って

「てっちゃんだって、ネットショッピングが趣味ってどんだけインドア?って感じだよー?」

クスクス笑って助け船を出してくれるのは馨くん。
いいこだよ、本当。

「俺のは趣味じゃなくて実利主義なだけ」
「あ、そー!てゆーか、今がなんの時間かわかってる?てっちゃん。街コンなの!街をあげての合コンなの!つまりー、今は話を掘り下げて開いてのことを知る時間なのー」

馨くんが仁科さんをたしなめて、こちらに向き直るとその隙をついて仁科さんが小さくため息。
見逃しませんでしたよ、私は。

「僕の趣味はねー、さっきも言ったけどカフェ巡り♪いいところあったら紹介してね!ところでさー、朋美ちゃんはどんな音楽聴くのー?」

会って間もなくの人に使うのもどうかと思うけれど“流石”馨くん。
見事なまでに話を膨らませては盛り上げる。
タラシなのか?
うーん、いや、やっぱ“女子”なんだ、ノリが。
話を重ねるごとに思う。

わかるー!という共感や、これは?なんて絶妙のタイミングの相槌。
女子が女子にしてほしいことを熟知しているかのような……。
天性の人タラシか、はたまた女子力かという天秤はギリギリのラインかなぁ。
という観察は、「あ、てっちゃん。それ一口ちょうだい?」という一言で終わった。

……女子だよ。

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