部長っ!話を聞いてください!
シンプルなスクエア型から食べ物や乗り物を模ったものまで、多種多様なカフリンクスが並んでいる。
眺めているだけでも楽しくなってきて、自然と笑みを浮かべてしまう。
気になったのは、スワロフスキーがあしらわれたもの。
明るい色や暗く落ち着いた色。みんな綺麗である。
それらの間で視線をうろつかせていると、黒い石が照明の光を反射してきらりと光った。鼓動がトクっと跳ねた。
部長の姿を思い浮かべて、視線の先にあるそれを袖口に重ねれば、また胸が高鳴った。
想像の中の部長が、優しく笑いかけてくれた。
「ぶっ、部長っっ!」
続けて「かっこいい!」と叫びたくなるのを必死にこらえた。
自分がプレゼントしたカフリンクスをつけて部長が仕事をしてくれたら、嬉しくて、もう本当に嬉しくて、部長の姿を何度も何度も見てしまうだろう。
しばらくの間、仕事がはかどらないかもしれないけど、この際そんなことは置いておこう。
この誕生日プレゼントは、有りだと思う!
部長へのプレゼント候補を、無事見つけることができ、ちょっぴり肩の力が抜けていく。
自分の中で購入への意志は固まりつつあるけれど、私はゆっくりとショーケースの前を離れた。