部長っ!話を聞いてください!
まだもうちょっと探してみよう。
通路の両脇に並ぶ店へと目を向けながら、一歩一歩前へ進んでいく。
何をプレゼントしたら、部長は喜んでくれるだろうか。
抱えているのは、答えの分からない悩みだけれど、考えているだけでとっても満ち足りた気持ちになっていく。
部長の顔を思い浮かべながら、プレゼント探しをするこの一時は、いつもとは全く違う特別な時間のようにも思えてくる。
明日はもっと、特別な時間を持てたらいいな。
否が応でも、期待は膨らんでしまう。
私は顔を俯かせ、こっそり笑みを浮かべた。
歌が好き。ダーツも上手い。本も読むし、映画も観る。料理もするし、ガーデニングも。
吉田君の言っていた言葉を思い返しながら、私のプレゼント探しは続いていく。
「はぁ。美味しそう」
ケーキ屋さんのショーケースに並んでいるホールケーキを食い入るように見つめながら、私はぼそりと呟いた。
イチゴがふんだんに乗せられたのも、イチゴはもちろんフルーツがたくさん乗ったのも美味しそうだし、ショコラのケーキも、チーズタルトも美味しそうだ。
視線を横にずらせば、ロールケーキやカップケーキも並んでいる。