部長っ!話を聞いてください!

切り花や鉢植えをプレゼントとして会社に持って行くのは、部長の荷物にもなってしまうし流石に気が引ける。

けれど、ガーデニング用の雑貨なら使ってくれる可能性は大きいかもしれない。

小さなウサギの置物も可愛らしいけど、シンプルなブリキのポッドも部長のイメージに近くて捨てがたい。

頭を悩ませながら、ふっと視線を横に移動し、私は僅かに目を見開いた。

視線が留まったのは、花の種である。

静かに歩み寄り、私は小袋へと手を伸ばした。

種も一緒にプレゼントしたら、育ててくれるかな。喜んでくれるかな。

いくつか手に取り、気になったのは、朝顔の種だった。

昼間は仕事で忙しくしているから、朝のほんの一時、開いた朝顔を見て、部長がほほ笑んでくれたら、嬉しい。

優しい部長の表情を思い出せば、心が温かくなった。


決めた。


私はこくりと頷いてから、朝顔の種を手に花屋の中へと入っていった。






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