部長っ!話を聞いてください!
明かりのついている自分の部屋をじっと見上げていて、私はあることに気付いてしまった。
窓が開いている。
今朝窓を開けた記憶はある。けれど……鍵は……それ以前に、窓をちゃんと閉めただろうか。
閉めたような気もしなくもないけれど、自信がない。
自分の不注意が泥棒を招いてしまったのかもしれない。
小さく呻き声を上げながら両手で頭を抱えた。
そして、再び視線をあげたその時――……すっと、窓の向こうに女性が姿を現した。
知っている女性――……姉だった。
ホッとし、急速に体の力を抜く。
と同時に、なんて人騒がせなという怒りに近い感情が湧き上がってきた。
来るならくるで、昼間のメールで教えといてくれてもいいのに。
ムッとしながらも、私は気持ちを切り替えることに努めた。
姉は昔から自由奔放なところがあって、身近な存在である自分は、事あるごとに振り回されてきた。
姉はいつまで経ってもそんな姉のままである。変わる兆しなどない。
何を言っても効かないため、腹を立てればたてるほど、それは無駄なエネルギーとなってしまう。私が疲れるだけなのだ。
ため息をつくと、まるでそれが聞こえたかのように、姉が私の方へと顔を向けた。