部長っ!話を聞いてください!
姉共々、早く出て行って欲しい。
乱暴に靴を脱ぎ、ドスドスと足音を鳴らしながら、部屋の中へと踏み込んだ。
「ちょっとお姉ちゃん! どういう――……っ!?」
私のベッドに腰掛けている茶髪の男性を目にした瞬間、頬が引きつった。
姉はしっかり洋服を身に着けているけれど、そこに座っている男は上半身裸だった。
しかもデニムパンツのベルトのバックル部分はだらしなく垂れさがっている。
とりあえずデニムパンツだけは履きましたといった感じだ。
「……これは、どういこと?」
握りしめた拳がぷるぷる震え出す。
「なんだよ、真菜花(まなか)。妹は今日帰り遅いって言ってたのに」
「私も、もう少し遅いかなって思ってたんだけど……でも、すぐに部屋出るよって言ってたのになかなか動かない克(かつ)くんも悪いんだからね」
毛先を弄りながら、姉が可愛らしく頬を膨らませて、克くんとやらに抗議している。
ゆるふわなのは、その髪の毛だけにしてくれ。
「そもそも、人の家に勝手に入りこむのが悪いんじゃないの?」
じろりと姉を睨みつけると、今度は私を見て「えー、でもー」と口を尖らせた。