部長っ!話を聞いてください!
玄関から戻ると、窓際で腕を組んで立っていた部長が眉間にしわをよせた。
「次またこんなことがあったら、おおごとにするからな」
心配してもらっているのが伝わってくる。
それが嬉しくて、私は笑みを浮かべながらこくりと頷き返した
それにしても、部長が私の家の中にいるなんてやっぱり夢みたいだ。
部長が見慣れたスーツ姿ではなく、白地にボーダーが入ったポロシャツに黒のデニムパンツという私服姿だから、余計にそう感じてしまうのかもしれない。
ふと、テーブルの上へ目を向け、私は口元をひきつらせた。
部長の家のドアノブに下げてきた誕生日プレゼントが、いつの間にかそこに置かれていた。
部長はこれを返しに私の家まで来て、騒ぎに巻き込まれてしまった……そんなところだろうか。
私は持っていた消臭スプレーと誕生日プレゼントを持ちかえ、空気の良い窓際から動かない部長へと突き進んでいく。
「部長……誕生日プレゼント、受け取って下さい」
俯いたまま、プレゼントを部長の胸元に押し付けた。
「受け取って下さい……大好きな……大好きな部長のこと考えながら、一生懸命選びました」
恥ずかしくて顔が上げられない。
だから、部長が今どんな顔をしているのか分からない。