部長っ!話を聞いてください!
称賛する二人に向かって、部長はゆるりと首を横に振り否定する。
「プレゼントとか、そういうのは、本当に要らないからな」
プレゼントされても困るから。
部長がそんな眼差しを目の前の二人に向けている。
「えー、でも。部長にはいつもお世話になってるし」
「そうだよね。これからも良い関係でいたいもんね」
先輩女子社員二人組は、プレゼントする気満々なセリフを口にしたあと、小声でこそこそと言葉を交わしながら、場を離れて行く。
その背中を見つめて、部長が小さくため息を吐いた。
「モテる男は辛いっすね」
「バーカ。からかうな」
吉田くんのおでこに、こつりと拳を押し当ててから、部長が私を見た。
目が合ったことに、とくりと鼓動が跳ねた。
「土屋も気を遣わなくて良いからな」
本当はプレゼントしたいけど、それが部長にとって迷惑だというのなら、辞めた方が良いのかもしれない。
そう頭では分かっていながらも、気持ちは落ちていく。
「……はい」
しょぼんとしつつ小声で返事をすると、部長がゴホンと咳払いをした。