もっと聞かせて うっとり酔わせて
俺は新吾にコーヒーを2つ頼んだ。

「千葉さんは新聞記者ですよね?」

「いや。」

「じゃ、議員秘書ですか?」

「全然。」

「じゃ、お仕事は何をされているんですか?」

「普通にサラリーマン。がっかりした?」

「いいえ。がっかりはしませんけど、普通のサラリーマンには見えません。」

「それなら何に見える?」

「今朝は旅人に見えました。」

「あっはっは。」

突拍子もないことを次から次へよく考えつくものだ。

「とにかく何に見えようと俺は気にしない。」

「失礼しました。」

新吾がコーヒーを運んできた。

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