もっと聞かせて うっとり酔わせて
「すぐには動かないな。」

瑠花はまたコクッとうなずいた。

「日本人は我慢強いと思わないか?」

コクコクと微かにうなずきながら

瑠花は千葉の口元に視線を移した。

「どこまで?」

「終点までです。」

千葉は続けて口を開きかけたがすぐ閉じ

代わりに左頬にえくぼができるまで

口を片方につり上げた。

瑠花が自分の口元を凝視しているのを

逆に意味あり気に見て内心ニヤリとした。

「何?俺の何が気に入った?」

千葉は車両内が静かすぎることに気を使い

先ほどから小声でやり取りをしていた。

千葉に合わせて瑠花も声を落としてしゃべった。

「質問してもいいですか?」

「質問にもよるな。」

「失礼なことは聞きませんのでご安心ください。」

「ぷっ。」

千葉は瑠花の言い方が几帳面すぎることに笑った。

「悪い、何でもないから。で?」

瑠花は了解を得たものと思い質問した。

「お煙草吸われますか?」

彼女は小声で言った。

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