素直になれば
第1章‐夏休み前の出来事
高校の入学式から3日目、学校からの帰り道であたしは、全然知らない3年生に突然コクられた。
『突然と思うだろうけど、僕と付き合ってもらえませんか。』

そう言われんのって、悪い気はしないけど、全然知らない人となんかいきなし付き合えないよ。あたしは、自分の好きな人と恋愛したいんだもん。
だから、『ごめんなさい』だ。
といったって、今好きな人がいるわけじゃない。

中学から一緒の真美は『いろんな人と付き合わなきゃ、いいも悪いもわかんないじゃん。もっと恋愛アンテナを張り巡らせなくっちゃ』っていつも言ってる。
誰と誰が付き合ってるとか別れたとか、何組のXX君はイケテルとかやたら詳しいし。

真美の彼氏と夏休みの計画を聞いて(聞かされて?)
『ちょっとうらやましい、かも』なんて言ったもんだから
『理子も選り好みしてないで、言い寄る男の誰かとつきあえばいいじゃん』って切り返された。

確かにあの後、なんでか分かんないけど、何人にも『好き』だの『付き合ってほしい』だの言われたり、してる。違う学校の人にへたくそな字の手紙を押し付けられたこともある。
でも、何か、何かなんだよなー。
< 1 / 30 >

この作品をシェア

pagetop