素直になれば
それからの1週間は、なんだかメールが気になってずっとそわそわしてた。
広田君からのメールを心待ちにしているくせに、一方で啓太君とは今までどおり、電話したり、デートしたりしていた。
でも、サッカーの練習はあれ以来観に行くのをやめた。
広田君と啓太君が一緒にいる場所に行くのは気が進まなかった、どっちにどんな顔すればいいのかわかんなくなりそうだったから。

1週間を過ぎても広田君からのメールは届かなかった。
あたしはがっかりしたし、ならあんなこと言わないでよね、とイライラしたりした。
そして、半ば諦めて、啓太君とのことを考えたらそのほうがいいんだ、と自分に言い聞かせたりもした。

だから、広田君からメールがきた時はびっくりして、キターッ!って思わずガッツポーズになっちゃった。
メールは『明日、この前の映画館の前に、1時に来れる?』って、なんともそっけない文章で、来れないなら一人で観るからいいけど、みたいな匂いがプンプンした。
いきなり明日ぁ?こっちの都合はお構いなしかい?そうつぶやきながら、明日は啓太君は模試で会えない日だってことを思い出してどこかでホッとした。
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