素直になれば

第3節‐啓太君と広田君

広田君の言葉やあの公園でのキスを気にかけながらも、あたしは啓太君とは今までどおり普通にデートしていた。
あれ以来広田君からメールは来なかったし、あたしも何も出来なかった。

一度考えだすと、
広田君はあたしと啓太君のことを知って、あたしのことを気の多い変わり身の早い女だと思って嫌になったんじゃないか、とか

あの日のキスは、事故みたいなもので、あんなことをしたり言ったりした自分を後悔しているんじゃないか、とか

好きだとは言われたけど、付き合って欲しいとか言われたわけじゃないとか、

実は、広田君にとってはキスはたいしたことじゃなくて、ちょっと気になる女の子ならとりあえずよくって、その子の反応をみていたんじゃないか、とか

どんどんどんどん悪い方向に考えが落ちていく。

メールするっていって何にも言ってこないんだから、どうしょうもないじゃん。
あたしは考えるのを止めたかったんだと思う。

それには、啓太君との時間を増やすことが一番の近道だった。
啓太君は相変わらず優しいし、一緒にいると好かれているんだな、あたしは、
っていうのがよくわかる。
でも、押しつけがましい感じはしないから、本当に心地よかった。
広田君のことを考えた時の胸キュンとは違う、安心して頼って我がままを言えるのが啓太君だ。

多分今のあたしは2人とも好き。

でもこんな状態でいるあたしをあたしは嫌いだ。
でもどうすればいいか、今すぐに答えはでない。
だって、あたしの気持ちもフラフラしているし、少しずるいけど、広田君の気持ちもよくわかんない。

でもでも、あたしのファーストキスは、、、、

あたしの腕には、あの日のあの公園での広田君に掴まれた時の強さがまだはっきりと残っているんだ。それは、腕の痛みじゃなくて、心の奥の切ない想いってことなのかもしれないけど
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