素直になれば
第2章‐夏休み中の出来事

第1節‐啓太君

雨宮啓太君との初めてのデートは、ちょい緊張した。
中学の時仲がよかった男の子は同級生だったし、友達の延長みたいなもんだ。

待ち合わせ場所で会った時も、軽くお辞儀をしたりしてなんかぎこちない感じ。

『僕のこと、啓太って呼んで。少し距離が近くなる気がするから。』
『あ、はい、、、。』うー自信ありそうな、はっきりした人だなー。
あたしが気後れしていたら、
『ね、僕のこと、啓太って呼んでね』って笑って繰り返した。
『あ、はい、、、。』何々?聞こえてるよー。へんな人だなー。
またまた沈黙、、、、。
『えっと、僕のことは啓太って呼んで』また笑って繰り返した。
何この人、、、あっ!。あたし、啓太君の言いたいことがやっとわかった。
で、
『あ、あたしのことは理子って呼んでください』って言った。
『うわ、よかったー。理子ちゃんの顔が(何こいつ、頭おかしいよ)って感じになってきたから心臓ドキバクになったよ。なのに、自分から、理子ちゃんって呼んでいい?って言いだす度胸も無いんだから、変なこと言って俺も情けないよな』
照れくさそうに笑った。そして、早口で、
『ごめん。俺、中高ってサッカーばっかで、女の子とまともに付き合ったことないから、緊張して、沈黙が続くと焦っちゃって』って言う。
黙っていれば凄く端正な顔立ちの啓太君が真顔になったり、焦ったり、困ったり、照れてはにかんだりしているのは、悪い感じじゃない。
『百面相みたい。』あたしはそう言って笑った。
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