素直になれば
『で、ほんとんとこどーなのよ』真美の突っ込みが入った。

『啓太君ってさ、普通なんだよね。ていうか、自分がかなりかっこいいってことに気づいてないんじゃないかと思うくらい、素なんだよねー』これはホントいい意味で、自然体。いつでも誰にでも同じに接してる。
『だって普通ああいうタイプって、ちやほやされてて、「俺の思いどおりになって当然だろビーム」が出てるでしょ?それが無いんだよね、不思議なことに』

『へえ、いい奴じゃん』

うん、いい人。それでいてあたしのこと、いつも気にかけてくれるしめちゃ優しい。
確かに優しいんだよね。いつも。

『練習、観に来てって言われたんだ』

『サッカー部の夏の練習、啓太先輩のファンがたくさん来るらしいよ。違う学校の子とかもいるって話だし。理子が彼女だってわかったら、殺されちゃうかもよ』
『うっそー。啓太君そんなこと一言もいってなかったよー』

『んーっ、もしかしたら、本人はそのことに気づいてないんじゃないの』
『それ、あり得るぅ』
あたしたちはそう言ってゲラゲラ笑っちゃった。こんな時、友達っていいなって実感するよね。ほかの誰かが聞いたら意味のないくだらない話だとしても一緒に笑えるし、楽しい。同じことで笑える感覚はあたしには絶対必要なものなんだ。

真美と話すのは啓太君といる時の楽しさとは全然違う楽しさがある。両方ともあたしには心地いい大切なものなんだって思う。

次に真美に会ったのは9月になって学校が始まってからだ。
でも、その間にあたしも真美もいろんなことがあった。
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