君をまとえたら
京都に降り立ち

二人でショップ巡りとなった。

観光ではなくだ。

つまりだな

甘~い雰囲気は俺たちの間にはこれっぽっちもなく

ただひたすらショップ巡りだ。

最初からわかっていたつもりでも

なんだか悲しいと思うのは俺だけかもしれない。

セナは文字通り目を輝かして

あれこれ見るのに夢中で

俺のことはまったく眼中になかった。

男としてこれでいいのか?

ああ俺はなんて不幸なんだろう。

こんなに近くにいるのに

俺という男が目に入らないなんて。

この女を理解できない。

「香取さん。」

「はい。」

無意識に模範的な返事ができる自分に腹が立った。

「ちょっと買いすぎちゃいそうなので見張っててください。」

「見張る?」

「そうです。お願いします。」

と手カゴを一つ持たされた。

「わかった。」

こんな風に情けない有り様で

余計悲しくなった。

セナは一品一品よく考えてから手に取り

さらに考えてからカゴに入れた。

時間はいくらかかってもいいから

俺だけが見ることができる今の彼女を独占している

という事実だけが

今の俺の慰めになった。

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