黄金の覇王と奪われし花嫁
ユアンの瞳に宿る強い光を見つけて、バラクは満足気に微笑んだ。
「それなら良い。ユアン、お前はそういう顔が一番似合う」
「バラク。あなたこそ、敗れた後の心配なんてらしくないじゃない」
ユアンは怒っていた。
「黒蛇だか誰だか知らないけど、そんな奴に負けるようなら父ガイールを討てたのも、まぐれだったって事だわ」
そうだ。そんなに簡単に、道半ばて死ぬのなら、父や兄や仲間の命を返して欲しい。
バラクなら、本当に地平線の向こうに広がる世界を見せてくれるかも知れない。
そう信じた自分は何だったのか。
「アリンナを統一して、新しい国の王になるんじゃなかったの!?」
ふっとバラクの口から声が漏れた。
まっすぐに向けられるユアンの眼差しを受けて、バラクが不敵に笑ったのだ。
「もちろんだ。ナジムが言うには勝率は五分らしいが、俺は必ず勝つぞ。
何といってもーー」
バラクはそこで少し言葉を切った。
眩しそうに目を細めてユアンを見る。
「我がウラール族には風の女神の生まれ変わりがついてるからな」
ーー風の女神よ。私は貴女の生まれ変わりでも何でもありません。何の力もないただの娘です。
ですが、今だけ貴女の名前を騙ることを許してください。
「そうよ。風の女神はウラール族と共にあるわ。
約束して、バラク。 私に、死んだ父や兄、仲間達に、あなたが作る新しい世界をきっと見せて」
「わかった、約束しよう」
バラクは瞳を閉じ、ハカ族との戦いに必ず勝利することを誓った。
「それなら良い。ユアン、お前はそういう顔が一番似合う」
「バラク。あなたこそ、敗れた後の心配なんてらしくないじゃない」
ユアンは怒っていた。
「黒蛇だか誰だか知らないけど、そんな奴に負けるようなら父ガイールを討てたのも、まぐれだったって事だわ」
そうだ。そんなに簡単に、道半ばて死ぬのなら、父や兄や仲間の命を返して欲しい。
バラクなら、本当に地平線の向こうに広がる世界を見せてくれるかも知れない。
そう信じた自分は何だったのか。
「アリンナを統一して、新しい国の王になるんじゃなかったの!?」
ふっとバラクの口から声が漏れた。
まっすぐに向けられるユアンの眼差しを受けて、バラクが不敵に笑ったのだ。
「もちろんだ。ナジムが言うには勝率は五分らしいが、俺は必ず勝つぞ。
何といってもーー」
バラクはそこで少し言葉を切った。
眩しそうに目を細めてユアンを見る。
「我がウラール族には風の女神の生まれ変わりがついてるからな」
ーー風の女神よ。私は貴女の生まれ変わりでも何でもありません。何の力もないただの娘です。
ですが、今だけ貴女の名前を騙ることを許してください。
「そうよ。風の女神はウラール族と共にあるわ。
約束して、バラク。 私に、死んだ父や兄、仲間達に、あなたが作る新しい世界をきっと見せて」
「わかった、約束しよう」
バラクは瞳を閉じ、ハカ族との戦いに必ず勝利することを誓った。