黄金の覇王と奪われし花嫁
「まさか。 私は風の女神などという古い迷信は信じてない。お前のことは手土産程度に貰ってきただけだ」
「だったら、さっさと返してよ」
「ーー黄金の狼の元にか?」
ネイゼルは唇の端をつりあげ、ニヤリと笑った。悪趣味な笑顔だが、彼にはよく似合っている。
「私がどこへ行こうと貴方には関係ない」
バラクは生きているの!?本当はネイゼルに詰め寄って、そう尋ねたい。
だけど、この陰湿そうな男が素直に教えてくれるとも思えない。
余計な事は言わない方がいい、ユアンはそう判断した。
「・・・貧相な身体のうえに愛嬌もないのか。私とあの男とは女の趣味が合わんな。怪我が治って働けるようになったら、お前の望み通りに適当な男にくれてやる」
「ーーそう」
出来るだけ感情を、弱味を見せないようにと思っていたユアンだったが思わずほっと息を吐いた。ネイゼルはそれを見逃しはしなかった。
「ふん。あの男に操を立てているつもりか」
ネイゼルは立ち上がると、ユアンに背をむけた。バラクと比べると小柄で線が細いが、その身のこなしには隙がなかった。
「お前の愛しいあの男は死んだよ。私が殺した」
ネイゼルはそう言い残して、オルタを出て行った。
「だったら、さっさと返してよ」
「ーー黄金の狼の元にか?」
ネイゼルは唇の端をつりあげ、ニヤリと笑った。悪趣味な笑顔だが、彼にはよく似合っている。
「私がどこへ行こうと貴方には関係ない」
バラクは生きているの!?本当はネイゼルに詰め寄って、そう尋ねたい。
だけど、この陰湿そうな男が素直に教えてくれるとも思えない。
余計な事は言わない方がいい、ユアンはそう判断した。
「・・・貧相な身体のうえに愛嬌もないのか。私とあの男とは女の趣味が合わんな。怪我が治って働けるようになったら、お前の望み通りに適当な男にくれてやる」
「ーーそう」
出来るだけ感情を、弱味を見せないようにと思っていたユアンだったが思わずほっと息を吐いた。ネイゼルはそれを見逃しはしなかった。
「ふん。あの男に操を立てているつもりか」
ネイゼルは立ち上がると、ユアンに背をむけた。バラクと比べると小柄で線が細いが、その身のこなしには隙がなかった。
「お前の愛しいあの男は死んだよ。私が殺した」
ネイゼルはそう言い残して、オルタを出て行った。