黄金の覇王と奪われし花嫁
エピローグ
「無事に戻ってこれて、何よりですね」

ナジムは何食わぬ顔でユアンに微笑みかけた。ユアンが刺された時はあっさりと見捨てようとしたくせに・・。

「私を取り戻すために奇襲をかけるなんて、貴方は絶対に反対すると思ってたわ」

「もちろん俺は反対でしたよ。ただ、タオや若い連中がバラクと共に行くと言って聞かないので・・しかも、貴女を助けないならバラクを殺すとトゥイに脅されました」

「・・・トゥイなら実行しかねないわ」

ユアンは苦笑した。やっぱり私より王の妻に相応しい器かも知れない。

「俺もそう思ったので、渋々認めました。止むを得ずですね。 まぁ、同盟は元々考えていた事でもあったので、結果としてはそう悪くはないです」

そこまで言うと、ふいに真面目な顔でユアンに向き直った。そして、膝をつきユアンに対して最上の礼をとった。


「ユアン。貴方は我々の長の命を救ってくれた恩人です。ひいては、ウラール族の命運を救ってくれた恩人でもある。心より感謝します」

ナジムはユアンの手を取ると、甲にひとつキスを落とした。
それから悪戯っぽく笑って、続けた。

「そうそう。我儘な長が自分の妻を貰ってくれと言うから引き受けたのに、やっぱり返して欲しいと言い出しました。
面倒なことこの上ないので、二度と痴話喧嘩はしないでくださいね」

「うっ・・・えっと・・」


ユアンは真っ赤になって、俯いた。
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