黄金の覇王と奪われし花嫁
おまけ① 苦手なタイプ
アリンナの地平線に燃えるような真っ赤な夕陽が落ちていく刻。
ナジムは愛用している剣の手入れをしていた。意外とずぼらなところのあるバラクと違って、ナジムは武具の手入れを毎日の日課として欠かした事はない。
手元に意識を集中させていたナジムの足先にコツンと何かがぶつかった。
「・・・なんだ?」
ナジムはそれを拾いあげて、観察してみたが何かはわからなかった。
濃い緑色の固い皮に覆われたそれは木の実なのか、果物なのか・・・
「あぁ、よかった。割れなくて。
すみません、洗おうとしたら落としてしまって」
おっとりとした耳に心地よい声に顔を上げると、トゥイがナジムの手元を覗き込んでいた。
「これは何ですか?」
ナジムは手の中にあるそれをトゥイに手渡しながら、尋ねた。
「南の方でよく食べられている果物ですよ。今日の食後のデザートにするつもりなので、召し上がってみてください」
トゥイはにっこり笑ってそう言ったが、ナジムは何とも言えない表情で首を傾げた。
「う〜ん。あまり美味しそうには見えないですねぇ・・・」
ゴツゴツした皮の感触といい、どぎつい緑色といい、とても美味な様には見えない。
「あぁ! これ、皮は固いんですけど、実はとっても柔らかいんですよ。色もきれいな桃色で。 この外見からは想像できないくらい甘くて美味しいので、きっとナジム様も驚きますよ」
「へぇ・・・」
考えてみれば、南方の果物には外皮と中身の色が全然違うものがよくある。
誰よりも料理上手なトゥイが言うのなら、この妙な果物もきっと美味いのだろう。 ナジムは今日の夕食が少し楽しみになった。
ナジムは愛用している剣の手入れをしていた。意外とずぼらなところのあるバラクと違って、ナジムは武具の手入れを毎日の日課として欠かした事はない。
手元に意識を集中させていたナジムの足先にコツンと何かがぶつかった。
「・・・なんだ?」
ナジムはそれを拾いあげて、観察してみたが何かはわからなかった。
濃い緑色の固い皮に覆われたそれは木の実なのか、果物なのか・・・
「あぁ、よかった。割れなくて。
すみません、洗おうとしたら落としてしまって」
おっとりとした耳に心地よい声に顔を上げると、トゥイがナジムの手元を覗き込んでいた。
「これは何ですか?」
ナジムは手の中にあるそれをトゥイに手渡しながら、尋ねた。
「南の方でよく食べられている果物ですよ。今日の食後のデザートにするつもりなので、召し上がってみてください」
トゥイはにっこり笑ってそう言ったが、ナジムは何とも言えない表情で首を傾げた。
「う〜ん。あまり美味しそうには見えないですねぇ・・・」
ゴツゴツした皮の感触といい、どぎつい緑色といい、とても美味な様には見えない。
「あぁ! これ、皮は固いんですけど、実はとっても柔らかいんですよ。色もきれいな桃色で。 この外見からは想像できないくらい甘くて美味しいので、きっとナジム様も驚きますよ」
「へぇ・・・」
考えてみれば、南方の果物には外皮と中身の色が全然違うものがよくある。
誰よりも料理上手なトゥイが言うのなら、この妙な果物もきっと美味いのだろう。 ナジムは今日の夕食が少し楽しみになった。