黄金の覇王と奪われし花嫁
らしくもなく呆然としているナジムを残して、トゥイは走り去っていく。


一瞬の間を置いて・・・


ナジムは声を上げて笑った。

何か吹っ切れたような、明るい笑い声だった。

トゥイは恐ろしく勘の鋭い女だ。ナジム自身でさえはっきりとは自覚していなかった想い・・・

ユアンが自分のものにならないことを、少し面白くないと感じていた。
ユアンに自分を見て欲しいと思い始めていた。

これは恋心なのだろうか。



ナジムはトゥイの走り去っていった先に視線を向けて、小さく呟いた。


「やっぱり・・・貴女だけは苦手なタイプです」




END
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