黄金の覇王と奪われし花嫁
おまけ② たとえ嘘でも
ネイゼルは厚手の長衣を脱ぎ捨てると、天井に向かいふぅと細く息を吐いた。
すっかり馴染んだと思っていた男物の衣服が今日はやけに重苦しく感じた。
久しぶりにイリアの名など口にしたからだろうか。
「お疲れ様でした」
そう言って温かいお茶を差し出したのはネイゼルの側近で影のように付き従っている男、ロキだ。
驚くほど背が高く、体格も良い。 色白なネイゼルとは似ても似つかない小麦色の肌を持つ。
幼い頃から同じハカ族の人間として育ってきたが、お互いの身体を流れる血は全然別のところから来たのだろう。
ネイゼルはロキの淹れてくれたお茶を口に運ぶ。 たくさんの香草を煮詰めて作るそのお茶は良い香りがして、身体の緊張をふっと緩めてくれる。
「よかったんですか?あのまま帰してしまって。 貴方のことだから、騙し討ちで暗殺でもするのかと思ってましたが・・」
ロキの言葉にネイゼルはふんと鼻を鳴らした。
「同盟の話に一番乗り気だったのはお前じゃないか。正面からぶつかったら、ウラールには敵わないと」
「それはまぁ・・・長としての才で貴方がバラクに劣るとは思っていませんが、軍事力は向こうが上です。 今現在、ウラールの騎兵に敵う部族はどこにもいませんよ」
ハカ族の騎兵の強化に最も尽力している張本人の癖して、ロキは悔しがる風でもなくさらりと負けを認めた。
ただ・・と言って、ロキはじっとネイゼルを見つめる。
すっかり馴染んだと思っていた男物の衣服が今日はやけに重苦しく感じた。
久しぶりにイリアの名など口にしたからだろうか。
「お疲れ様でした」
そう言って温かいお茶を差し出したのはネイゼルの側近で影のように付き従っている男、ロキだ。
驚くほど背が高く、体格も良い。 色白なネイゼルとは似ても似つかない小麦色の肌を持つ。
幼い頃から同じハカ族の人間として育ってきたが、お互いの身体を流れる血は全然別のところから来たのだろう。
ネイゼルはロキの淹れてくれたお茶を口に運ぶ。 たくさんの香草を煮詰めて作るそのお茶は良い香りがして、身体の緊張をふっと緩めてくれる。
「よかったんですか?あのまま帰してしまって。 貴方のことだから、騙し討ちで暗殺でもするのかと思ってましたが・・」
ロキの言葉にネイゼルはふんと鼻を鳴らした。
「同盟の話に一番乗り気だったのはお前じゃないか。正面からぶつかったら、ウラールには敵わないと」
「それはまぁ・・・長としての才で貴方がバラクに劣るとは思っていませんが、軍事力は向こうが上です。 今現在、ウラールの騎兵に敵う部族はどこにもいませんよ」
ハカ族の騎兵の強化に最も尽力している張本人の癖して、ロキは悔しがる風でもなくさらりと負けを認めた。
ただ・・と言って、ロキはじっとネイゼルを見つめる。