黄金の覇王と奪われし花嫁
「兄様はシェンを知っているの? どんな方かしら?私とは気が合うと思う?」

ユアンは夫となる男に興味津々だった。

「何度か会っているよ。 シェンは強くて優しい男だ。お前達はきっと良い夫婦となる。何と言っても、シーン族が大切な大切な族長の娘であるお前をダキ族に贈るんだ。大切にされない訳がない」

「そう? それなら良かった」


賢い兄様の言うことならきっと間違いない。私は幸せな花嫁になれる、ユアンはそう確信した。

シェンはどんな顔をしているだろう。

初めて会ったら、何を話そうか。

私達の間に生まれてくる最初の子は男の子だろうか、それとも女の子だろうか。


ユアンはアリンナの地でも1.2を争うほど強大な力を持つシーン族の族長の娘として大切に育てられてきた。

そして、固い同盟関係にある友好部族の元へ嫁ぐ。

戦乱のこの世で、自分のように恵まれた娘がどれだけいるだろうか。

ユアンは風の女神に、自らの幸運を感謝し祈りを捧げた。


この美しい婚礼衣装に身を包み、シェンの妻となる日が永遠にやってこないなんて、知る由もなかった。
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