学校の屋上
(4)~名前~
二人は風の中にいた。
慧太にとって女の子に声をかけるのは、簡単な事だった。なのに………それなのに彼女に話しかけるのは少し勇気がいった。
「……名前は?」
「…アリス。神丘 アリス。」
アリス…………か。
慧太は気がついた。
強そうなのに儚げなアリスが心から離れなくなっていたことに。
何で泣いていたのかわからない。
でも、わからなくても慧太はアリスを守りたいと思った。
こうやって自己紹介するのは新鮮だからかな。
………すごく、ドキドキする。
アリスはそう思うと急に恥ずかしくなった。
急いで顔をそむける。
しばらくして、彼の方にそっと目を向けると彼はこっちを見て微笑んでいた。
「じゃ、そろそろ…」
彼は、そう言うと屋上の扉に向かって歩き出した。
アリスは、彼の名前を知らないことに気がついた。
急いで名前を聞こうとしたが、彼はもう扉の向こうにいた。
まぁ………いっか。
もうどうせ会うことなんて無いんだし。
そう思い下を向いたアリスは、足元にキーホルダーを見つけた。
木製のパズルのピースの形をしている。
「……かわいい。」
アリスはそう言うと、クスッと笑った。
きっと彼の物だろう。
今度彼に会ったら返そう。
そう思ってアリスはそのキーホルダーを自分のポケットに入れた。
放課後、慧太は屋上に向かった。
いつもそうしていた。
屋上の端にはさらに上に続くはしごがある。
慧太はいつものようにはしごを上がろうとして手を止めた。
屋上の扉が開く音がしたからだ。
先生にばれたんじゃないかと思った。
慧太は、おそるおそる振り返る。
そこにいたのは髪の長い少女だった。
彼女だ。
アリスがここに来たのだ。
俺たちが出逢ったこの場所に。
会えた。
やっぱりここにいた。
私たちが出逢ったこの場所に。
アリスは、彼がはしごに手をかけていることに気がついた。
「へぇ、さらに上があるんだ。」
アリスは、ぽつりと呟いた。
でも彼には聞こえていたらしい。
彼はこっちを見ると、微笑みながら手招きした。
「おいで。」
少しびっくりした。
それでもアリスは、彼に向かって歩いた。
名前も知らない彼に向かって。
慧太にとって女の子に声をかけるのは、簡単な事だった。なのに………それなのに彼女に話しかけるのは少し勇気がいった。
「……名前は?」
「…アリス。神丘 アリス。」
アリス…………か。
慧太は気がついた。
強そうなのに儚げなアリスが心から離れなくなっていたことに。
何で泣いていたのかわからない。
でも、わからなくても慧太はアリスを守りたいと思った。
こうやって自己紹介するのは新鮮だからかな。
………すごく、ドキドキする。
アリスはそう思うと急に恥ずかしくなった。
急いで顔をそむける。
しばらくして、彼の方にそっと目を向けると彼はこっちを見て微笑んでいた。
「じゃ、そろそろ…」
彼は、そう言うと屋上の扉に向かって歩き出した。
アリスは、彼の名前を知らないことに気がついた。
急いで名前を聞こうとしたが、彼はもう扉の向こうにいた。
まぁ………いっか。
もうどうせ会うことなんて無いんだし。
そう思い下を向いたアリスは、足元にキーホルダーを見つけた。
木製のパズルのピースの形をしている。
「……かわいい。」
アリスはそう言うと、クスッと笑った。
きっと彼の物だろう。
今度彼に会ったら返そう。
そう思ってアリスはそのキーホルダーを自分のポケットに入れた。
放課後、慧太は屋上に向かった。
いつもそうしていた。
屋上の端にはさらに上に続くはしごがある。
慧太はいつものようにはしごを上がろうとして手を止めた。
屋上の扉が開く音がしたからだ。
先生にばれたんじゃないかと思った。
慧太は、おそるおそる振り返る。
そこにいたのは髪の長い少女だった。
彼女だ。
アリスがここに来たのだ。
俺たちが出逢ったこの場所に。
会えた。
やっぱりここにいた。
私たちが出逢ったこの場所に。
アリスは、彼がはしごに手をかけていることに気がついた。
「へぇ、さらに上があるんだ。」
アリスは、ぽつりと呟いた。
でも彼には聞こえていたらしい。
彼はこっちを見ると、微笑みながら手招きした。
「おいで。」
少しびっくりした。
それでもアリスは、彼に向かって歩いた。
名前も知らない彼に向かって。