イレカワリ~番外編~
思いで‐海side‐
俺は夢を見ていた。


俺と双子の兄弟の歩。


そして幼馴染の沙耶と一緒に海へ行っていた時の思い出だ。


去年の夏休みの事だ。


海の中に潜るとはしょっぱい海水が唇について、ゴーグル越しに見た世界はまるでおとぎ話の中に出てきそうだった。


綺麗で穏やかな海で、3人は飽きるまで遊んでいた。


肌が白くて華奢な沙耶は白いビキニ姿で、凹凸のないその体に思わず見とれてしまった。


「なに見てるのよ」


沙耶が濡れた髪の毛をかき上げながらそう聞いて来たので、俺はあわてて視線を逸らせた。


「学校と違う水着だから照れてるんだろ」


歩が横から俺の体をつついてそう言った。


「うるさいな」


俺は2人に背を向けて再び海の中へと潜った。


海藻がフヨフヨと心地よさそうに漂っている。


11歳の夏はまだまだ暑い。


沙耶への気持ちが膨らんでいくのを感じていた。


「海!!」


心地よく潜っていたところで、歩が俺の腕を掴んで引き上げた。


「なんだよ歩」


ムッとして歩を睨む。


「沙耶が!」


その言葉に俺は浜辺へと視線を向けた。


砂の上に、沙耶の白い体が横たわっているのが見えた。
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