イレカワリ~番外編~
「沙耶、大丈夫か?」
「あたし……もうダメみたい」
沙耶がそう言い、苦しげな顔で笑った。
「なに言ってんだよ」
俺は沙耶の横にしゃがみ込みその手を握りしめた。
小さくて細くて、そして驚くほどに熱を帯びている。
まるで、死ぬ間際に自分が生きていると言う事を一生懸命周囲に伝えようとしているようだ。
「歩……約束……守ってくれてありがとう」
沙耶が言う。
俺は左右に首を振った。
「約束なんて、守れてるかどうかもわからないよ」
沙耶との約束。
それは俺にとって残酷なものだった。
だけどそれが沙耶の願いならと、俺は笑顔で聞きいれたのだ。
「海は……とても幸せそうに笑うの……」
沙耶が海の名前を口にした時だけ、その苦しい表情を和らげた。
優しく、まるで花が咲くようにほほ笑むんだ。
「海と約束したの……来年の夏……3人でまた、海に……」
沙耶の言葉が途切れる。
苦しい表情がスッと消えて手から力が抜けるのを感じた。
「君、どけて!」
担当医が俺を押しのける。
「電気ショック!」
院内が突如として慌ただしくなる。
俺は茫然としてその様子を見ていることしかできなかったのだった……。
「あたし……もうダメみたい」
沙耶がそう言い、苦しげな顔で笑った。
「なに言ってんだよ」
俺は沙耶の横にしゃがみ込みその手を握りしめた。
小さくて細くて、そして驚くほどに熱を帯びている。
まるで、死ぬ間際に自分が生きていると言う事を一生懸命周囲に伝えようとしているようだ。
「歩……約束……守ってくれてありがとう」
沙耶が言う。
俺は左右に首を振った。
「約束なんて、守れてるかどうかもわからないよ」
沙耶との約束。
それは俺にとって残酷なものだった。
だけどそれが沙耶の願いならと、俺は笑顔で聞きいれたのだ。
「海は……とても幸せそうに笑うの……」
沙耶が海の名前を口にした時だけ、その苦しい表情を和らげた。
優しく、まるで花が咲くようにほほ笑むんだ。
「海と約束したの……来年の夏……3人でまた、海に……」
沙耶の言葉が途切れる。
苦しい表情がスッと消えて手から力が抜けるのを感じた。
「君、どけて!」
担当医が俺を押しのける。
「電気ショック!」
院内が突如として慌ただしくなる。
俺は茫然としてその様子を見ていることしかできなかったのだった……。