イレカワリ~番外編~
☆☆☆

数日後。


俺は制服姿で葬儀場の中にいた。


なにがどうなって今ここにいるのか、いまいち整理がつかなかった。


遺影の前まで行き、これが沙耶の葬儀だと理解した時俺の中で何かが壊れていくような音がした。


どうしてこんな事になったんだっけ?


俺と沙耶は、どうして離れ離れになってしまったんだっけ?


考えれば考えるほど、歩の泣き顔が浮かんできた。


最期の最後まで頑張って生きようとしている沙耶の前で泣いた歩。


その涙は沙耶にどう映っただろうか?


あぁ、あたしはもうダメなんだ。


そんな風に映ったんじゃないだろうか?


いや、きっとそうだ。


俺が沙耶だったとしたら、あの涙が原因で生きる力を手放したかもしれない。


そんなの、俺の勝手な想像だった。


沙耶は年越しまで持たないと俺は気が付いていた。


いつ死んでもおかしくない。


それがあの日だっただけだ。


頭では理解していた。


だけど、一番大切なものを失った今、それを誰かのせいにしていないと自分が保てなかったんだ。
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