イレカワリ~番外編~
「死んだって、言った?」


「そうよ。学校は退学が決まったらしくて、そのすぐ後に……」


そこまで言って言葉を切った。


配慮したつもりかもしれないが、ここねが自殺したのだということがすぐにわかった。


「なんで……?」


「知らないわよ。とにかく、葬儀だけは――」


ため息交じりにそう言うお母さんに、俺はバンッと音を立てて箸を置いた。


「……ごめん、食欲がないんだ」


そう言い、席を立つ。


ここねが死んだ?


自殺?


なんで?


写真の中でほほ笑んでいるここねを思い出す。


白い肌。


妖艶なあえぎ顔。


クラスメートの手で変わってしまったここねの姿。


「俺も、もういいや」


海がそう言い、席を立つ。


俺を追い越して廊下に出た。


後ろ手にドアを閉めたその時だった。


「バカだなお前は」


海が憐れむようにそう言った。


「小田ここねちゃん、まさか自殺するとはなぁ」


海はそう言いながらケラケラと笑い声を上げた。


「なにがおかしいんだよ」
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