イレカワリ~番外編~
「すげぇよな、この力。なんで今までバカ真面目に他人に迷惑をかけないように、なんて言ってたんだろうなぁ」


海が笑いながら言う。


「冗談だろ……?」


怒りで声が震えるのがわかった。


「お前さ、ここねちゃんが本当にあんなことするように見えたワケ?」


そう言われて、返事ができなかった。


ここねは転校生で俺も知らない部分があるんだと思った。


そして幻滅し、ここねの話も聞かずに離れた……。


「ここねちゃんは処女だったよ」


海が俺の耳元でささやく。


俺の体はピクリとも動かなかった。


どうしたんだろう?


まるで体だけ別人になってしまったような感覚だ。


海の事を殴りつけたいのに、それもできない。


怒りは湧き上がってきているのに、自分の不甲斐なさの方が勝っている。


「俺はお前が幸せになることを、許さない。これから先もずっと邪魔してやる。この『イレカワリ』の能力を使ってな」


海の笑い声が金縛りとなり、俺はいつまでのその場から動く事ができなかったのだった……。
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