イレカワリ~番外編~
「ゲームの攻略法なんだけどさぁ」


純と2人自転車をこぎながら家に向かう。


俺はゲームの内容を頭の中で思い出しながら説明をする。


家の中は真っ暗だった。


けれど風呂場から水の音が聞こえて来る。


玄関には海の靴。


「ただいま」


返事がないのを知りながら一応そう言った。


階段を上がって自室へ向かおうとしたとき、脱衣所のドアが半分ほど開いている事に気が付いた。


風呂に入っているなら、ドアくらいちゃんと閉めて……。


そう思い脱衣所へ近づく。


すりガラスの向こうにうずくまっている人の姿が見えた。


それは湯船に体を預けるようにしていて、動かない。


体調でも悪くなったんだろうか?


「海、大丈夫か?」


声をかける。


しかし返事はない。


「おい、どうした?」


後ろから純が声をかけて来る。


「様子が変なんだ」


俺はそう言いながら風呂場のドアを開けた。
< 114 / 117 >

この作品をシェア

pagetop