イレカワリ~番外編~
「あ、あの……」
しばらく歩いたところで小田ここねが困ったような声を出した。
「なんだ?」
「移動教室なら、その時に連れて行ってくれてもよかった……です……」
言いながらその声は徐々に小さくなっていく。
俺に気を使っているのがわかった。
「それじゃダメだろ。移動教室は女子生徒たちと行かないと」
「え……?」
小田ここねは俺の言葉の意味がつかめないようで、首を傾げた。
この分じゃ自分がクラスでモテモテなことにも気が付いていなさそうだ。
一番、いじめやすそうなタイプとも言う。
「君は女だ。まずは女友達を作らないと学校生活は楽しくならないだろ?」
「あ……はい」
ようやく意味を理解してくれたようで、小田ここねはほほ笑んだ。
その頬には沙耶と同じようなエクボができた。
「ここが1時限目に使う教室だから」
俺は科学室の前で立ちどまり、そう言った。
「ありがとうございました。えっと……」
「庄司。庄司歩だ」
「歩……君」
小田ここねが照れくさそうに言う。
華奢な指先が行き場を無くして手遊びをしている。
「あぁ。別に」
俺はぶっきらぼうにそう言うと小田ここねに背中を向けて歩き出した。
俺の用事はもう終わったし、2人で教室に戻るとまた男子たちがうるさいからだ。
「あの……!」
途中で声をかけられて振り返ると、小田ここねはまだ科学室の前にいた。
「なんだよ」
「あたしの事、ここねって呼んでください」
「は?」
「あたしの、初めての友達になってください!」
そう言うここねは、本当にとても可愛かったんだ……。
しばらく歩いたところで小田ここねが困ったような声を出した。
「なんだ?」
「移動教室なら、その時に連れて行ってくれてもよかった……です……」
言いながらその声は徐々に小さくなっていく。
俺に気を使っているのがわかった。
「それじゃダメだろ。移動教室は女子生徒たちと行かないと」
「え……?」
小田ここねは俺の言葉の意味がつかめないようで、首を傾げた。
この分じゃ自分がクラスでモテモテなことにも気が付いていなさそうだ。
一番、いじめやすそうなタイプとも言う。
「君は女だ。まずは女友達を作らないと学校生活は楽しくならないだろ?」
「あ……はい」
ようやく意味を理解してくれたようで、小田ここねはほほ笑んだ。
その頬には沙耶と同じようなエクボができた。
「ここが1時限目に使う教室だから」
俺は科学室の前で立ちどまり、そう言った。
「ありがとうございました。えっと……」
「庄司。庄司歩だ」
「歩……君」
小田ここねが照れくさそうに言う。
華奢な指先が行き場を無くして手遊びをしている。
「あぁ。別に」
俺はぶっきらぼうにそう言うと小田ここねに背中を向けて歩き出した。
俺の用事はもう終わったし、2人で教室に戻るとまた男子たちがうるさいからだ。
「あの……!」
途中で声をかけられて振り返ると、小田ここねはまだ科学室の前にいた。
「なんだよ」
「あたしの事、ここねって呼んでください」
「は?」
「あたしの、初めての友達になってください!」
そう言うここねは、本当にとても可愛かったんだ……。