イレカワリ~番外編~
「え?」


「いつも、休憩時間になると声をかけてくれてたじゃない?」


「あぁ……」


確かにそうだった。


あの頃はまだここねがクラスに馴れていなかったし、自分という存在を認識してほしくて頑張っていたんだ。


最近ではここねにも友達が増えて、笑顔になる事も多くなった。


俺との噂を少しでも不快だと感じていたら、近づかない方がいいかもしれないと思っていたのだ。


「ちょっと寂しいなって、思って」


ここねがそう言い振り向いた。


その表所は暗い。


「ごめん」


思わず、謝っていた。


別に悪い事をしているワケじゃないとわかっていたけれど、ここねにそんな顔を刺せたのは自分だと思うと、言葉が出ていた。


「謝ってほしいわけじゃないの。歩は何も悪くないし。でも……」


ここねが言おうとしている事の意味はわかった。


前のように接してほしいのだ。


「最近噂になってるだろ? 俺とここねの事が」


そう言うと、ここねはハッとしたように顔を上げ、頬を赤くして頷いた。
< 38 / 117 >

この作品をシェア

pagetop