イレカワリ~番外編~
リビングには顔を出さず、そのまま脱衣所へと向かった。


一刻も早く沙耶に会いたくて服を脱ぎ捨てるとシャワーを浴びた。


最初の水を頭からかぶると目がハッキリと覚めていくのがわかった。


「今日も行くのか?」


歩が脱衣所からそう声をかけて来た。


「あぁ。お前も行く?」


「いや、俺は純と約束があるから」


歩はそう言うと、顔を洗って脱衣所から出て行った。


純とは、俺たちの親友の事だ。


昔から仲が良いけれど、ゲーム好きな歩との方が会話が弾んでいた。


シャワーをしてリビングへ向かうと、歩がテレビゲームを始めていた。


「朝からゲームかよ」


「あぁ。もうすぐで終わるんだ、このゲーム」


歩はテレビ画面から視線をそらさずにそう返事をした。


今日は両親が家にいない。


きっと歩は純を家に呼んでずっとゲームをしているつもりなんだろう。


「そんな事してたら頭が腐るぞ」


俺はそう言い、歩の頭をクシャクシャッとなでた。
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