イレカワリ~番外編~
熱‐海side‐
放課後になり、俺は病院へと向かっていた。


ここ数日間パーティーの準備が忙しくて病院に顔を出せていなかったのだ。


歩の手伝いのおかげて準備は順調に進んでいる。


あとは当日の料理を歩に頼むだけになっていた。


みんなに囲まれている沙耶を想像すると、早く15日が来ないかとソワソワして来てしまう。


沙耶の笑顔が見たい。


笑顔はどんな病気でも吹き飛ばしてしまう威力があるんだ。


自転車を置いて入口へ向かう。


いつものように受付の女性に会釈をして、エスカレーターに乗る。


何度も何十回も訪れたこの病院。


来年の沙耶の誕生日には、ここではなく別の場所でできたらいいなと思う。


「沙耶、入るぞ」


507号室をノックして声をかける。


しかし返事がなくて、俺はもう1度ノックした。


「海君、こんにちは」


左側からそんな声がして振り向くと、そこには体温計を持った看護師が立っていた。


「こんにちは。あの、沙耶は……?」


「沙耶ちゃん、今朝から少し熱が出ているのよ」


そう言い、病室をノックしてドアを開ける看護師。


俺はその後について病室へと入って行った。


白いベッドの上には、赤い顔をした沙耶が苦しげな呼吸を繰り返していた。


目はきつく閉じられていて、時々うめき声を上げる。


「熱が上がっている途中だから、まだ苦しいのよ」


看護師はそう言い、沙耶の脇の下に体温計を挟んだ。
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