イレカワリ~番外編~
☆☆☆

病室を出るとそこには歩が立っていて、俺は驚いて足を止めた。


「歩、なんで?」


「帰りが遅いから、ここにいると思って」


歩はそう言い、507号室のドアを見た。


「そっか。心配かけて悪いな」


「いや、いいけど……沙耶、どうかしたのか?」


沙耶のせき込む声は廊下まで聞こえてきている。


「あぁ。今日は熱があるみたいなんだ。写るとパーティーができなくなるし、もう帰る事にするよ」


「そうだったのか」


歩は少しドアの向こうの様子を気にしていたが、すぐに体の向きを変えて歩き出した。


ここまで来て顔も出さずに帰るのは歩としても嫌だろう。


我慢しているのが横顔を見ているとわかった。


「沙耶の誕生日の料理の事なんだけど」


2人で並んで自転車をこぎながら、歩がそう言って来た。


「その話をしなきゃいけないと思ってたんだ」


「だろ? 沙耶は食べ物の制限はないけど、弱っているなら食べやすい物のほうがいいよな?」


「そうだな。誕生日まであと2日。それまでに熱が下がってればいいけれど……」


もし熱が下がらなければ、パーティー所ではない。
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