イレカワリ~番外編~
沢山の友達を‐歩side‐
病室の前まで行ったけれど、沙耶のせき込む声と海の声を聞いたら、ノックをすることもできなかった。
沙耶は最近調子がいいと言っていたけれど、今日はあまりよくないようだ。
顔を見たい。
だけどそれも叶わないまま、俺と海は家に戻っていた。
「沙耶の誕生日には、できるだけ多くの友達を呼びたいんだ」
海がそう言い出したのは、夕飯を食べ終えてリビングでテレビを見ている時だった。
海は先に風呂に入ったため、シャンプーの香りがしている。
「いいわね。賑やかになりそうで」
お母さんが嬉しそうにそう言う。
だけど、俺はそれよりも海の目が赤くなっていることの方が気がかりだった。
さっき、風呂に入る前までは気にならなかったのに。
「あぁ。病棟の先生たちもみんな顔を出してくれるってさ」
海はそう言い、笑った。
でも、その笑顔もぎこちない。
「まぁ、すごいわね。沙耶ちゃんにとって忘れられない誕生日になりそうね」
「お前も、何か作ってあげたらどうだ?」
テレビを見ていたお父さんが視線をうつし、お母さんへ向けてそう言った。
「そうだ、お母さんはケーキを作ってよ」
海がそう言った。
「ケーキなんて、上手にできるかしら」
「できるよ。俺たちの誕生日の時にも作ってくれただろ」
そう言った海に俺は自分たちの誕生日を思い出していた。
沙耶は最近調子がいいと言っていたけれど、今日はあまりよくないようだ。
顔を見たい。
だけどそれも叶わないまま、俺と海は家に戻っていた。
「沙耶の誕生日には、できるだけ多くの友達を呼びたいんだ」
海がそう言い出したのは、夕飯を食べ終えてリビングでテレビを見ている時だった。
海は先に風呂に入ったため、シャンプーの香りがしている。
「いいわね。賑やかになりそうで」
お母さんが嬉しそうにそう言う。
だけど、俺はそれよりも海の目が赤くなっていることの方が気がかりだった。
さっき、風呂に入る前までは気にならなかったのに。
「あぁ。病棟の先生たちもみんな顔を出してくれるってさ」
海はそう言い、笑った。
でも、その笑顔もぎこちない。
「まぁ、すごいわね。沙耶ちゃんにとって忘れられない誕生日になりそうね」
「お前も、何か作ってあげたらどうだ?」
テレビを見ていたお父さんが視線をうつし、お母さんへ向けてそう言った。
「そうだ、お母さんはケーキを作ってよ」
海がそう言った。
「ケーキなんて、上手にできるかしら」
「できるよ。俺たちの誕生日の時にも作ってくれただろ」
そう言った海に俺は自分たちの誕生日を思い出していた。