イレカワリ~番外編~
「彼女は、海は好き?」


そう聞かれて顔を上げた。


俺の事を言っているわけじゃない。


あの、大きくて青い海が好きかと聞いているんだ。


「はい……。好きだと思います」


「それなら、これなんかどうかな?」


店員さんがそう言って差し出してきたのは、白い貝殻のついたネックレスだった。


「これ、本物の貝殻を繋げてネックレスにしているのよ」


そう言われて手に取ると、思ったよりも軽かった。


「貝殻……」


また来年、海に行こう。


沙耶とした約束を思い出す。


3人で去年のように夏休みを過ごしたい。


その思いが強くなる。


「これにします」


俺はそう言ったのだった。
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