イレカワリ~番外編~
「来年の夏にダブルデートできたらいいよな」


海が、盛り付けられた生姜焼きをテーブルに並べながらそう言った。


「ダブルデート?」


「あぁ。俺と沙耶、お前と好きな子」


海はそう言い振り返って笑顔を向けた。


無邪気なその笑顔に一瞬自分の胸がチクリと痛むのを感じた。


「あ、あぁ……そうだな」


本当にそんな事ができたら。


来年、4人で遊ぶことができたら、きっと素敵な思い出になる。


一生忘れられない、4人だけの思い出が。


「……わかった。明日誘ってみるよ」


「そうこなくっちゃな」


海はそう言い、俺の頭をクシャクシャッと撫でたのだった。
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