イレカワリ~番外編~
☆☆☆

海と約束をした翌日、俺は朝から緊張していた。


ここねと話をすることは馴れて来たけれど、いざ自分から誘うとなるとどうしても緊張してしまう。


「おい、大丈夫か?」


その緊張は海にも伝わっていたようで、自転車をこぎながらそう声をかけて来た。


「あぁ。全然平気だ」


無理してそう言い、笑顔を浮かべる。


断られないとわかっているのに、どうしてこんなに緊張するのか自分でも不思議だった。


「そんなに緊張してたら誘えないだろ」


海は呆れたように言う。


「大丈夫だって言ってるだろ」


本当は大丈夫じゃないのを悟られたくなくて、俺はスピードを上げて自転車をこいだのだった。
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