イレカワリ~番外編~
☆☆☆

教室へ入ると、いつものようにここねの方が先に来ていた。


毎日公園で勉強をしているのだから、来るのが早くても当たり前の事だった。


「おはよう」


俺はここねの机の前を通り過ぎる時にそう声をかけた。


クラスメートの女子たちと会話をしていたここねがこちらを見て「おはよう」と、返す。


いつもと変わらない教室の風景。


それでも普段より意識してしまうからか、ここねの声が気になって仕方がない。


女子たちと他愛のない会話をしているだけなのに、ソワソワとその様子を伺ってしまう。


「どうかしたのか?」


純に突然そう聞かれて俺は飛び上がるほどに驚いた。


いつの間に登校してきたのか、その事にも気が付かなかった。


「な、なにが?」


「さっきからずっと小田の事見てるだろ」


「はっ? なんの事だ?」


純の言葉に心臓がドクンッと大きく跳ねた。


そんなにわかりやすかっただろうかと、自分の頬に手を触れた。


「誤魔化しても無駄」


純はそう言うと俺の前の席に座った。


他の生徒の席だけれど、登校して来るまではいつも純が使っている。
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