イレカワリ~番外編~
☆☆☆

俺がここねに話しかけたのは昼ご飯を食べた後だった。


前みたいに屋上が開いていればよかったのだけれど、今日はあいにく閉められていた。


できるだけ人の少ない場所を探して、俺は体育館へと続く渡り廊下に来ていた。


授業がない休み時間にここを通る生徒は、まずいない。


「用事って、なに?」


ここねが少しだけ頬を染めてそう聞いて来た。


それを見ていると、こっちまで照れてしまう。


まるで告白するような雰囲気に、俺は咳払いをした。


「明日、友達の誕生日パーティーなんだ」


変な期待をさせてもまずいと思い、俺は早口でそういった。


するとここねはキョトンとした表情になり「この前言ってたね」と、頷いた。


「ここね、参加したいって言ってたろ?」


「うん……」


「それなら、一緒に行かないか」


すごくぎこちなくて、笑顔もまともに作れていなかったと思う。


それでも、どうにかそう言った。


ここねは驚いたように目を丸くして「いいの?」と、聞き返す。
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