イレカワリ~番外編~
料理‐歩side‐
海が一足先に出かけるのを見送ってから、俺はお母さんへと向き直った。


「もう少ししたら、友達がくるんだ」


「え? 友達?」


おにぎり用のお米を炊いていたお母さんが振り向いてそう聞いて来た。


「うん。俺の……」


『俺の、好きな子』


そう言うのが恥ずかしくて途中でうつむいてしまう。


「そうなの。料理を手伝ってくれるの?」


途中までの言葉でも察してくれたのか、そう聞かれた。


「うん」


「わかった。じゃぁお母さんはケーキ作りに専念するわね」


こんな早い時間からここねを呼んだ事にも怒らないお母さんに感謝しつつ、俺はここねの到着を待ったのだった。
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