イレカワリ~番外編~
☆☆☆

それから数時間後。


ここねと俺は最後の仕上げに取り掛かっていた。


大き目のお弁当箱に詰められた色とりどりのおかず。


おにぎりはほとんどここねが握ってくれたものだ。


「歩って料理が上手なんだね」


俺の作ったおかずを見てここねが感心したようにそう言った。


「そうなのよ。家でもいつも料理をしてくれるのよ」


お母さんが嬉しそうにそう返事をした。


お母さんはここねのことが気に入ったようで、さっきから笑顔を崩さない。


沙耶に似ている事を驚くかと思ったけれど「そう? そんなに似てないと思うけど」と、キョトンとした表情で言っていた。


お母さんから見て似ていないと感じるなら、海と合わせても大丈夫かもしれない。


少しだけ残っていた不安はどこかへ消えて、楽しい時間に変わっていた。


「じゃぁ、そろそろ行こうか」


お弁当やケーキがあるから、移動はお母さんの車だった。


自然と、俺とここねは後部座席で並んで座る形になる。


運転手はお父さん。


助手席にはお母さん。
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